歯は本来、上の歯が下の歯を少し覆った状態で生え揃っています。しかし、下の歯列が上の歯列よりも外側に出ている、あるいは臼歯部が横にずれて噛み合っており、上下の前歯の中心がずれている状態を交叉咬合(こうさこうごう)と言い、不正咬合の一種と診断されます。
交叉咬合の原因
交叉咬合はクロスバイトとも呼ばれており、幼少期の歯並びでも起きることがあります。
交叉咬合は顎や噛み合わせがずれてしまっているため、噛み合わせだけでなく、顔の歪みが多く見られます。つまり正面から見たとき、顔の非対称具合が目立ってしまいます。
交叉咬合の原因は、他の不正咬合と同じく、上顎と下顎の大きさのアンバランスにより起こる先天性のものと、頬杖や横向きで寝るなどの癖による後天的なものが考えられますが、幼少期の頃は骨格的にずれているよりも、上顎の歯列の狭さや噛み合わせのズレが原因で、奥歯の噛み合わせが横にずれていることがほとんどです。
しかし中学生くらいになると、口元にズレが生じていることが顕著になり、見た目にも問題が出てきます。特に思春期ごろの女子の場合、見た目が大変気になってしまうことと思います。また奥歯の噛み合わせが大きくズレることで顎に負担がかかり、顎関節症になる恐れもあります。
交叉咬合をそのままにしておくことで生じる問題点とは
交叉咬合の大きな問題点は、噛み合わせのズレと見た目です。噛み合わせが横に大きくズレていると口元が大きく歪み、顔全体のバランスが悪くなります。
また噛み合わせのズレにより、顎の骨に負担がかかりやすく、口が開きにくい、顎が痛いなど顎関節症を引き起こしてしまうこともあります。
矯正治療だけでなく、外科処置が必要になることも
交叉咬合の治療の多くは、狭い歯列の拡大を行います。拡大装置を装着して歯列を横に広げることで改善を促しますが、状況によっては成人後を機に、外科手術を行ったうえで矯正治療が必要となる場合もあります。この場合、保険が適用となるケースも考えられるので、歯科医師によく確認して下さい。
交叉咬合かどうかのチェックポイント
不正咬合には色々ありますが、交叉咬合は案外見つけにくいかもしれません。交叉咬合と気付かずにそのまま過ごしていると、成長に伴って口元の歪みが顕著になってしまう恐れがあります。そこで交叉咬合かどうかのチェックポイントをご紹介しましょう。
・上下の前歯の中心は合っていますか?
・奥歯や横の歯の噛み合わせが上下逆になって下の歯が外側に出ていませんか?
このような症状が当てはまる場合、交叉咬合が疑われます。もしかして交叉咬合かも?と思われる方は、速やかに矯正歯科を受診しましょう。
奥歯で噛んだ時、通常は上の前歯が下の前歯を2~3mmほど覆います。ところが上の前歯が下の前歯をすっぽりと覆い隠して、下の前歯がほとんど見えない状態の噛み合わせを「過蓋咬合(かがいこうごう)」と言います。では過蓋咬合の問題点や、放置した場合どのようなリスクを負うのか、詳しくご説明しましょう。
「噛み合わせが深い」過蓋咬合の問題点とは?
過蓋咬合は、奥歯で噛んだ時に上の前歯が下の前歯をほぼすっぽりと覆った状態になります。一見すると歯がきれいに並んでいることもあるため、出っ歯や受け口に比べるとさほど気にならないかもしれませんが、そのまま放置しておくことで、お口の中に次のような問題点が生じてきます。
過蓋咬合の原因
過蓋咬合になる原因は、遺伝要素や歯の異常などが考えられます。先天的な要因としては、下顎の成長が足りない、上顎の成長が大きいなど、上下の顎のバランスが悪いことや、奥歯の高さが足りない場合などが挙げられます。
いっぽう後天的な要因として、奥歯が抜けたまま放置しておくことで噛み合わせが低くなる、強い噛みしめ、下唇を噛む癖などが過蓋咬合を引き起こす可能性があります。
過蓋咬合を放置するリスク
過蓋咬合は、歯列矯正をすることで深すぎる噛み合わせを浅くすることが可能です。しかしそのまま放置すると、下顎に負担がかかりすぎて顎が動かしにくくなることがあります。その結果顎がカクカク言う、口が開けにくい、顎が痛いなど、顎関節症を引き起こすことがあります。
また咀嚼しにくい、笑った時に歯ぐきがむき出しになってしまうなどの機能的・審美的な問題も起こります。
年を重ねるごとに噛み合わせは少しずつ深くなるため、過蓋咬合をそのままにしておくとますます症状が悪化してしまいます。笑った時に下の歯がほとんど見えない場合、過蓋咬合が疑われますので気になる方は早めに歯科医院へお越しください。
不正咬合のひとつに「開咬(かいこう)」というものがあります。開咬はオープンバイトとも呼ばれており、奥歯で噛んだ時に上下の歯にすき間ができる噛み合わせです。今回は開咬の特徴や、放置した場合のリスクなどについてご説明いたします。
開咬とは?
開咬とは、奥歯で噛んだ時に歯が噛み合わず、上下の歯の間にすき間ができてしまう状態を言います。正しい噛み合わせは奥歯で噛んだ時に、上の歯が下の歯を数mm覆っていますが、前歯部開咬になると上の前歯が下の前歯を全く覆いません。開咬は歯並びそのものは悪くないケースもあり、正面から見ると問題がないように見えることもあるかもしれません。しかし開咬の程度によっては正面から見てもわかる場合もあります。また、上下の前歯に間があいていると、前歯で食べ物を噛み切ることができないため、食事において不便を感じることもあります。
開咬の原因
では開咬はどのようなことが原因で起こるのでしょうか。
開咬による問題点とは
出っ歯や受け口に比べると、見た目はそれほど問題はないかもしれません。しかし開咬は見た目以上に機能に大きな問題を抱える不正咬合です。では開咬を放置することで、どのような問題が起こるのでしょうか。
・前歯で食べ物を噛み切れない・・・食材によっては、前歯で噛み切る必要があるものも多数あります。ところが開咬は前歯にすき間があるため前歯で噛み切ることができません。そのため食べられるものが前歯を使わない食材に限定されてしまう場合があります。
・奥歯に過度の負担がかかる・・・開咬の大きな問題点のひとつに、奥歯に大きな負担がかかることがあります。そのため長期的にみると奥歯の詰め物や被せ物が外れやすくなったり、歯にヒビが入ったり、歯が割れてしまう恐れがあります。
・発音が不明瞭になる・・・上下の前歯の間にすき間があることで空気が漏れたような発音になってしまいます。そのため発音が不明瞭になり、相手にとって聞きづらくなることがあります。
・口が閉じにくく、口腔内が乾燥しやすくなる・・・お口の中が乾くと唾液が少なくなり、細菌が増えて虫歯や歯周病、口臭の原因となります。
このように、開咬を放置しておくことで様々な問題を抱えてしまいます。開咬かも?と思われる方、検診などで開咬を指摘された方などは、できるだけ早めに歯科医院へ相談して下さい。
歯は本来、上の前歯が下の前歯を数mm覆っています。ところが下の前歯が上の前歯を覆っているような噛み合わせがあります。それはいわゆる「受け口」と呼ばれている不正咬合です。受け口は横から見ると下顎が前方へ出ているため、専門的には「下顎前突(かがくぜんとつ)」と呼んでいます。では受け口をそのまま放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか。
受け口の特徴と問題点
受け口は大きく2種類に分かれます。どちらも下の前歯が上の前歯よりも前へ出ている状態を言います。
受け口は、まず見た目に大きな問題があります。下顎が前方に突き出していることでエステティックラインが大きく崩れてしまいます。そのため横顔の見た目は、受け口の大きなコンプレックスになりやすいです。
また前歯で食べ物を噛み切ることが難しいことも日常生活を送る上での大きな問題点となります。前歯で噛み切る食べ物は意外と多いですが、そのような食べ物を食べるときに前歯で噛めないことに不便を感じます。受け口は発音も不明瞭になる傾向が強く、受け口の程度によっては日常生活においてもたびたび不便を感じてしまう場合があります。
受け口を放置するリスク
色々な不正咬合でも、受け口は早期に治療を開始する必要があります。そのまま放置すると、下顎の成長にともない、だんだん顎が前方へ出ていわゆる「しゃくれ」と呼ばれるような見た目になってしまいます。
受け口になると噛み合わせにも当然悪い影響が及んでしまいます。そのため顎の骨に負担がかかりやすく、将来的に顎関節症を引き起こす恐れがあります。また受け口で前歯が噛んでいない場合、奥歯への負担が大きくなり、奥歯の寿命が短くなる場合もあります。このように、受け口を放置すると見た目だけでなく、顎の骨や歯の寿命などにも影響が及んでしまいます。
受け口かな?と心配する方は早めの受診を
お子さんの歯並びが何となく受け口っぽい・・・このように感じる方は、早めに歯科医院を受診してください。大人になってからの受け口の治療はかなり大変です。何となく下の歯が出ているかな・・・このようにご心配がある方も、早急に歯科医院を受診して下さい。
歯が前方へ出ている「出っ歯」は、ご本人にとって大変なコンプレックスとなることがあります。出っ歯は専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と言いますが、字のとおり上顎が前方へ出ているため、前歯や上の歯全体が前方へ突き出して見えてしまうため、特に横顔にコンプレックスを抱くことが多いと思われます。では上顎前突をそのままにしておくと、どのような悪影響が出てしまうのでしょうか。
出っ歯の原因
出っ歯の原因は、骨格などが原因の先天性のものと、長期間の指しゃぶりなどによる後天的なものに分けられます。骨格が原因の場合、両親の遺伝が強く出ることが多いようです。
一方、後天的な原因としては、幼少期の長期にわたる指しゃぶりや口呼吸などが考えられます。指しゃぶりは赤ちゃん時代は生理的な行為ですが、いつまでたっても指しゃぶりを続けていると、指を吸う力や指の圧力により前歯が前方に出てしまいます。
また口呼吸も出っ歯の原因となる場合があります。呼吸は本来鼻で行いますが、口がぽかんと開いていると舌の位置が下方に下がります。その結果、上顎の歯列の横幅が狭くなり、さらに、前歯に唇による外側からの圧力がかからないため、前歯が出てしまうと考えられています。
この他にも日常的な様々な癖により歯列が狭くなり、前歯が出てしまうことがあります。
出っ歯を放置するとどうなる?
出っ歯は審美的に問題を引き起こすだけではありません。出っ歯をそのままにしておくことで、次のような症状が起こる可能性があります。
・口が閉じにくく、口呼吸になりやすい
・虫歯や歯周病になりやすい
・お口の中が乾燥して口臭などの原因になる
・口元をぶつけたとき、前歯が折れてしまう危険がある
特に問題となるのは、口呼吸です。先ほど口呼吸が出っ歯の原因になると触れましたが、その逆も起こります。出っ歯で口が閉じにくいと、どうしても口で呼吸をしてしまいます。口呼吸をすることで口の中が乾燥し、唾液が少なくなってしまいます。その結果、お口の中の細菌が増え、虫歯や歯周病リスクが高まってしまいます。口臭も同じで、口呼吸をすることでお口の中が乾燥し、口内細菌が増殖して口臭が発生してしまいます。
またアクシデントが起きた際にもリスクを伴います。もし口元をぶつけてしまった際、前歯が出ていると衝撃を受けやすく、前歯が折れてしまう可能性もあります。前歯が折れてしまうと最悪の場合、神経を取り除く治療が必要になることがあります。
出っ歯が気になる方、自分は出っ歯ではないかと不安に思う方は、歯科医院に相談してみて下さい。
歯並びのお悩みで最も多いと思われる、ガタガタの歯列は、見た目のコンプレックスが大きく、人前で笑うのが恥ずかしく感じる方もいらっしゃいます。ガタガタした歯並びの乱れを専門的には「叢生(そうせい)」と言います。今回は、叢生の特徴や放置した場合のリスクなどについてお話をいたします。
叢生になる原因は?
叢生は一般的に「乱食い歯」とも呼ばれる、デコボコとした歯並びです。ではなぜ歯並びがガタガタになってしまうのでしょうか。
乳歯がすき間なくぴっちりと生え揃っていると、一見きれいな永久歯が生えてくるのではないかと思うかもしれません。しかし顎が小さく、乳歯がすき間なく生え揃っている場合、高い確率で永久歯の歯並びが悪くなってしまいます。その理由は、永久歯は乳歯よりも大きいため、小さな乳歯が抜けた後に永久歯が正しい位置に並ぶスペースが不足するからです。その結果、生えてきた永久歯が並ぶことができずに押しやられ、歯が重なったり変な位置から生えたりします。一般的に言う八重歯も叢生のひとつです。
叢生の原因は遺伝的な要素も考えられます。両親が顎が小さかったり、八重歯だったりすると、お子さんも同じような歯並びや噛み合わせになる可能性が高くなります。
何らかの原因で乳歯が早く抜けてしまった場合も、叢生になる場合があります。乳歯は永久歯が押し上げてくることで抜け落ちますが、永久歯が生えてくるより前に乳歯が抜けてしまうと、両隣の乳歯が倒れ込んできてスペースを狭くしてしまいます。その結果、後から生えてきた永久歯が正しい位置に並ぶことができなくなります。
叢生をそのまま放置すると?
ガタガタの歯並びを放置したままにすると、どうなってしまうのでしょうか。叢生は見た目の問題だけでなく、虫歯や歯周病といった、お口の健康にも関わってきます。歯並びが悪いと歯磨きがし辛く、汚れがきちんと落とせません。特に歯と歯が重なった部分は歯ブラシの毛先が届きにくいため、どうしても汚れが残りがちです。その結果、残った食べかすに細菌が集まり、プラークを作り出します。プラークはネバネバとした白っぽい物質で、細菌の塊です。その中で虫歯菌が増えると虫歯に、歯周病菌が増えると歯周病になってしまいます。
また口臭の原因にもなります。食べかすが残ったままになるとやがて腐敗し、悪臭を放つようになります。このように、叢生をそのままにしておくと、虫歯や歯周病、口臭を引き起こしやすくなる可能性があります。
受け口(反対咬合)の治療法はいくつかあり、治療の開始時期によって使用する装置が違ってきます。今回は受け口を改善するための装置「ムーシールド」についてお話をいたします。
ムーシールドについて
まだお子さんが小さく、歯列が乳歯の時期に、既に受け口と診断された場合に使われるのが、ムーシールドと呼ばれる装置です。受け口は3歳児検診で見つかることが多く、そのまま成長するに伴って下顎が発達し、受け口が顕著になって治療も大変になってきます。そのため受け口と診断された場合は、早期に治療を開始することで症状が改善することがあります。
ムーシールドとは透明のマウスピースをのようなもので、夜寝るときに装着して受け口の改善を目指すための装置です。舌の位置が低く、下顎を舌で前方へ押し出してしまう癖があるお子さんや、既に反対咬合を気にして早期に治療を開始したいと希望されている場合などは、ムーシールドを使って治療を開始することがあります。
ムーシールドは歯並びを整えるというよりは、お子さんの顎の成長を利用して、正しい噛み合わせに誘導するといった目的で使われます。ムーシールドを装着することで得られる効果は、次のとおりです。
・早期に治療を開始することで、受け口の改善を目指す
・舌圧と口唇圧のバランスを保つ
・舌が下がることを抑制し、舌を高い位置に保つ
ムーシールドのメリットは、痛みが少なく、お子さんへの負担も少ないこと、3歳くらいから開始が可能なこと、取り外し式のため、食事や歯磨きに支障がないことが挙げられます。
ムーシールドのデメリットは、ムーシールドによる治療で受け口が改善した後にも、成長に伴って下あごが大きくなると再び受け口になる可能性があることです。
ムーシールドの装着時間について
ムーシールドは、主に就寝中に使用します。しかしできるだけ長い時間装着することで効果が得られやすくなるため、できれば起きているときにも装着すると良いでしょう。まだ小さいお子さんは、起きているときにムーシールドを付けることを嫌がるかもしれませんが、例えばテレビやDVDを見ている間などを利用すれば、意識がムーシールドから外れやすくなるでしょう。
ムーシールドの装着期間は3~8か月くらいが目安です。上下の噛み合わせが正しく改善したあとも、1年ほどは継続して装着することをお勧めします。
ただ受け口の治療は予見が難しく、ムーシールドでの治療法が一概に正しいとは言えないこともあります。しかし受け口をそのまま放置しておくとどんどん悪化するため、受け口と診断された、お子さんが受け口かもしれないと心配な方は、早期に歯科医院を受診してください。
お子さんの歯並びのお悩みのひとつに「受け口」がありあす。受け口は反対咬合とも呼ばれる、噛み合わせの異常です。受け口の治療法はいくつかありますが、その治療法のひとつに「チンキャップ」という装置を使った方法があります。今回は、チンキャップについて詳しくお話をいたします。
受け口の治療の必要性について
奥歯で噛んだときに、上の前歯が下の前歯を前後・上下的に2~3mmほど覆っているのが正常な状態です。しかしその状態が逆になっている場合、つまり下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態を「受け口」「反対咬合」などと言い、不正咬合の一種であるため治療が必要になります。受け口は遺伝要素も強く、そのほとんどが骨格が原因です。両親が受け口の場合、高い確率でお子さんも受け口になります。
横から見ると顎が出ているようにも見えるため、見た目に問題が生じます。また見た目だけでなく、受け口をそのままにしておくと噛み合わせのズレが大きくなり、咀嚼しにくい、発音しにくい、顎が痛くなるなど様々な悪影響が出てくる場合があります。そのためお子さんが受け口と診断された場合は、早期に治療を開始することが望ましいでしょう。
しかし、受け口の治療の難しさは、発育時期の下顎の成長にあります。一般的に身長が伸びる時期に伴って下顎の骨が前方へ成長します。目安としては、男の子が中~高校生、女の子では小学校高学年ごろと言われており、この時期までに下顎が成長して前方へ出てくるのを抑えるために、チンキャップを装着して治療をする場合があります。
チンキャップとは
チンキャップとは、下顎の成長を抑える装置で、まだ下顎の成長が残っていると判断される時期に使われます。この装置を装着することで、下顎の成長を前方から下方へと変える効果があると言われています。
チンキャップはヘッドキャップ、ゴムバンドそして顎に付けるチンキャップという構造になっています。ヘッドキャップからゴムバンドでチンキャップを引っ張り、下顎全体を後方に移動させることで下顎と上顎の位置関係を調整していきます。
しかし、全ての受け口に対して効果があるわけではありません。反対に、チンキャップを使用することで新たな骨格の問題を引き出してしまう可能性があるとも考えられています。その結果、外科手術を余儀なくされる場合もあり、チンキャップの使用については慎重な判断が必要となります。
いずれにしても、受け口をそのまま放置しておくと下顎がどんどん成長し、横から見ると顎がしゃくれたように見えてしまいます。審美性と機能性、そして体にとっても良いことはありません。受け口が気になるお子さんは、早めの歯科受診が必要です。
誠に勝手ながら、2/21(金)2/22(土)は矯正担当医不在のため、矯正診療を休診させていただきます。
なお、矯正以外の一般歯科診療は通常の通り行っております。
ご連絡を承ることは可能ですが、矯正に関する処置については2/25(火)以降の対応となります。
患者様にはご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
お子さんの歯並びのお悩みのひとつに、出っ歯に代表されるような、上顎の過度の成長が挙げられます。このような症例に対してワイヤー矯正やマウスピース矯正を行う場合もありますが、矯正装置はお口の中に装着するものばかりではありません。上顎の過度な成長に対して使用されるのが「ヘッドギア」と呼ばれるお口の外に装着する装置です。今回はヘッドギアについてお話をいたします。
ヘッドギアとは?
ヘッドギアとは、過度に成長した上顎の成長の抑制、上の奥歯の位置の調整、つまり出っ歯や上顎が前方に突出している症例の改善を目的とした矯正装置です。帽子のように頭に被ったり、首の後ろにかけて使用するため、見た目にはあまり良くはありません。主にお子さんの第一期治療で使用されますが、第二期治療のワイヤー矯正との併用や、大人の症例でも使用することがあります。
ヘッドギアは上顎の過剰な成長を抑制し、下顎とのバランスを整えることができます。また上顎歯列全体が前方に突出しているケースにおいて、上顎の奥歯を後方に下げて、歯並び全体を後方へ移動させて噛み合わせのバランスを整えます。
ヘッドギアの仕組み
ヘッドギアは、フェイスボウと呼ばれている金属の装置、上顎の大臼歯に固定する装置、頭に被るヘッドキャップ(または首の後ろにかけるネックバンド)で構成されています。ヘッドキャップを頭に被ることで頭部を固定源とし、モジュールというゴムを使って上顎に対してを後ろへ引っ張る力をかけて移動させます。
ヘッドギアを装着する際の注意点
ヘッドギアは見た目に特徴があり、学校など外出時に装着することはありません。しかし12時間以上装着することで効果が表れるため、家にいるときや就寝時は必ず装着するのが望ましいです。食事や歯磨き、お風呂に入るときなどは外しても構いませんが、できるだけ長い時間装着しないと効果が表れにくくなります。
ワイヤー矯正などと違い、頭部に装置を被る形状のため、ケガに注意してください。特にスポーツをするとき、兄弟ケンカが起きたときなどはケガをしやすい状況です。スポーツの前は外し、ケンカが起きそうなときは仲裁しながらヘッドギアを外してあげるよう注意してください。
ヘッドギアを装着すると、奥歯が痛くなることがありますが、歯の移動に伴う痛みなので心配はありません。
奥歯に固定しているバンドやフェイスボウが外れてしまうことがあります。このような場合は、早めに歯科医院に相談して下さい。
ヘッドギアは特殊な見た目ですが、正しく使用するとその効果はかなり高いものがあります。出っ歯や上顎歯列全体が前方へ突出しているのが気になる方は、ヘッドギアによる治療が可能かもしれません。