矯正治療中の痛み
ご自身やお子さんの歯並びが気になり、矯正治療をしてみたいけど、痛いのでは?と不安に感じ、矯正治療をためらう方もいらしゃると思います。矯正治療は、矯正装置を歯に付けて歯を少しずつ動かすため多少なりとも痛みを伴うのは致し方ありません。しかし歯が動くこと以外の原因でも痛みを感じてしまうこともあるようです。今回は、矯正治療中の痛みについてまとめてみました。
矯正治療中に起こる痛みの原因
お子さんの矯正でも成人の矯正でも、矯正治療は歯に矯正装置を付けて歯を動かします。お口の中に矯正装置があるとまず違和感や異物感はどうしても感じてしまいますが、それ以外に「痛み」を感じ、矯正治療が苦痛に感じてしまうこともあるかもしれません。では矯正治療に伴う痛みの主な原因を挙げてみましょう。
- 歯が動く痛み・・・矯正治療で最も多い歯の痛みは、歯が動く時の痛みです。矯正治療は歯に矯正装置を装着して歯に力を加え、歯を少しずつ移動させます。ワイヤー矯正装置の場合はワイヤーを調整したあと、マウスピース型矯正装置は新しいマウスピースに交換したあとに痛みを感じやすくなります。また顎間ゴムをかけたときや、インビザラインでアタッチメントを付けたときに、痛みが強く出ることがあります。これらの痛みは歯に力をかけた時に歯の周囲が炎症のような状態となり、周囲の骨を作り変えていく時に生じるため、ある意味歯が動いている証拠とも言えます。
- 歯を削ったときに感じる痛み・・・ガタガタした歯並びを治す際、歯を正しい位置に並べるために歯のスペースを作るために歯を削る「IPR(ストリッピング、ディスキング)」という処置が必要になることがあります。IPRでは歯の表面のエナメル質だけをごく薄く削りますが、削る量が多いと、知覚過敏のような痛みが起きることがあります。
- 矯正装置が当たる痛み・・・矯正装置が歯ぐきなどの粘膜に当たることで痛みを感じることも多いようです。装置が当たると粘膜に傷がつき、口内炎などになってしまうことがあります。口内炎になると普段の食事まで影響が出る場合もあります。
痛みの改善方法
矯正治療中に起こる痛みに対し、それぞれの原因に応じた対処法で症状の緩和が期待できます。
- 歯が動く痛みに対する対処法・・・歯が動く痛みはずっと続くわけではありません。2~3日が痛みのピークで一週間程度で治まってきますが、あまりにも辛い場合は痛み止めを飲んで対処して下さい。ただし、痛み止めを大量に服用すると、周囲の骨を作り変えるための炎症反応を過剰に抑えてしまい、歯の移動を妨げてしまう可能性もあります。
- 歯を削ったときに感じる痛みの対処法・・・歯を削った際に起きた痛みは、歯科医院での治療が必要になります。また痛みの原因が歯を削ったためではない可能性もあるため、歯科医院を受診し、症状に応じた処置を受けるようにして下さい。
- 装置が当たる痛みの対処法・・・装置自体を調整して当たりにくくすることができる場合もありますが、それが難しい場合には装置をカバーするワックスなどを使用することができます。装置をカバーすることで粘膜に当たる衝撃を和らげます。
矯正治療は痛みや違和感はどうしても出てしまいます。しかし、痛みの原因と対処法を知っておくと気持ちの上でゆとりを持つことができるでしょう。矯正治療中の痛みに不安やお悩みがある方は、遠慮せずに歯科医師に相談してください。