歯並びのお悩みで最も多いと思われる、ガタガタの歯列は、見た目のコンプレックスが大きく、人前で笑うのが恥ずかしく感じる方もいらっしゃいます。ガタガタした歯並びの乱れを専門的には「叢生(そうせい)」と言います。今回は、叢生の特徴や放置した場合のリスクなどについてお話をいたします。
叢生になる原因は?
叢生は一般的に「乱食い歯」とも呼ばれる、デコボコとした歯並びです。ではなぜ歯並びがガタガタになってしまうのでしょうか。
乳歯がすき間なくぴっちりと生え揃っていると、一見きれいな永久歯が生えてくるのではないかと思うかもしれません。しかし顎が小さく、乳歯がすき間なく生え揃っている場合、高い確率で永久歯の歯並びが悪くなってしまいます。その理由は、永久歯は乳歯よりも大きいため、小さな乳歯が抜けた後に永久歯が正しい位置に並ぶスペースが不足するからです。その結果、生えてきた永久歯が並ぶことができずに押しやられ、歯が重なったり変な位置から生えたりします。一般的に言う八重歯も叢生のひとつです。
叢生の原因は遺伝的な要素も考えられます。両親が顎が小さかったり、八重歯だったりすると、お子さんも同じような歯並びや噛み合わせになる可能性が高くなります。
何らかの原因で乳歯が早く抜けてしまった場合も、叢生になる場合があります。乳歯は永久歯が押し上げてくることで抜け落ちますが、永久歯が生えてくるより前に乳歯が抜けてしまうと、両隣の乳歯が倒れ込んできてスペースを狭くしてしまいます。その結果、後から生えてきた永久歯が正しい位置に並ぶことができなくなります。
叢生をそのまま放置すると?
ガタガタの歯並びを放置したままにすると、どうなってしまうのでしょうか。叢生は見た目の問題だけでなく、虫歯や歯周病といった、お口の健康にも関わってきます。歯並びが悪いと歯磨きがし辛く、汚れがきちんと落とせません。特に歯と歯が重なった部分は歯ブラシの毛先が届きにくいため、どうしても汚れが残りがちです。その結果、残った食べかすに細菌が集まり、プラークを作り出します。プラークはネバネバとした白っぽい物質で、細菌の塊です。その中で虫歯菌が増えると虫歯に、歯周病菌が増えると歯周病になってしまいます。
また口臭の原因にもなります。食べかすが残ったままになるとやがて腐敗し、悪臭を放つようになります。このように、叢生をそのままにしておくと、虫歯や歯周病、口臭を引き起こしやすくなる可能性があります。