中学、高校になると部活動の中で吹奏楽を選ぶ方もいらっしゃるでしょう。吹奏楽は、文科系の部活でも人気が非常に高く、楽器を演奏している先輩の姿に憧れを抱き、自分もいつかあんなふうに演奏してみたい!と思うお子さんもきっと多いと思います。ここで疑問となるのが、吹奏楽と矯正治療が一緒に出来るかどうかです。実際はどうなのでしょうか。
基本的には矯正治療と吹奏楽の同時進行は可能
吹奏楽で使う楽器には、トランペット、フルート、トロンボーン、サックスなど色々な種類があります。そのほとんどが、音を出すためにマウスピース(この金管楽器で使うマウスピースは、矯正治療で使うマウスピースとは全く違う形状をしています)やリードが必要となります。
矯正治療では歯にブラケットなどの装置をつけて歯並びを改善していくため、マウスピースやリードが矯正装置に当たって楽器を演奏する際に音が出にくい、ということがあります。そのため、吹奏楽部の指導者によっては矯正治療を反対されることもあるようです。
しかし、矯正治療をしていると絶対に楽器の音が出ないというわけではないです。楽器によって、矯正治療の影響を比較的受けにくいものもあり、中でもフルートはあまり影響なく音を出すことができるようです。また、トランペット、トロンボーンなどマウスピースを付けて演奏する金管楽器もそれほど影響はないようですが、サックスやクラリネット、オーボエなどのリードを使用する木管楽器はリードをかむ必要があり、矯正治療にやや影響が出ることが考えられます。
どの楽器を演奏するにも、矯正装置がお口の中にあることで音が出しにくくなります。しかし絶対に出ないことはありません。その分、他の人よりもたくさん練習が必要であったり、楽器が制限されることもあります。
個人差が大きく出る矯正治療
矯正治療をしながら吹奏楽をしていると、矯正治療の進みが遅くなることがあります。しかし、そもそも矯正治療における歯の動き方には個人差があり、必ずしも皆同一ペースで進むわけではありません。
状況に応じた治療法や装置を選択しながら、個々のペースで治療を進めていくことが大切になります。対応が可能ならば矯正装置をブラケットなどの固定式の装置ではなく、取り外し式のマウスピースにするなど、患者さんのお口の中の状況と生活習慣に応じた治療法を一緒に考えながら治療を行い、吹奏楽も楽しめるようにするのがベストではないかと思います。中には難しいケースもあるかもしれませんが、ご本人にとっていちばん良い方法を一緒に考えていくのが、矯正治療における重要なポイントとなるため、悩み事はためらわずに歯科医師に相談して下さい。