拡大装置

拡大装置

矯正治療は、患者さんの歯並びや年齢、顎の状況など総合的に判断して、その状態に応じた矯正装置を使って行われます。今回は「拡大装置」と呼ばれる矯正装置についてご紹介します。

拡大装置」とは?

顎の骨の幅が狭いと、正しい位置に永久歯が並ばず歯並びがガタガタになってしまいます。また、上下の歯列の横幅のバランスが悪いと、噛み合わせのずれや顎の変形につながる場合があります。このような症例でよく用いられるのが「拡大装置」という矯正装置を使って歯列や顎の骨の幅を広げる治療法です。主に乳歯と永久歯が一緒に生えている「混合歯列期」で使われます。

・クワドヘリックス

クワドヘリックスとは、側方拡大装置とも呼ばれる装置の名称です。バネの力で歯列の幅を拡大したり、傾いた奥歯を改善するための装置で、成長期のお子さんによく使われます。

クワドヘリックスは、上顎の歯列弓の幅を左右に広げることを目的とした固定式装置で、弱い力をかけてゆっくりと幅を広げていきます。歯列弓とは歯並びのアーチのことで、この幅を横へ広げ、歯列が正しく並ぶようにします。固定用の金属製のバンドと太いワイヤーからできており、金属のバンドを奥歯に固定し、ワイヤーの形状を変えながら徐々に力を加えて歯列弓を押し広げます。なおこの方法は上顎の骨自体はほとんど広がりません。

また、下顎用の装置で似たような形のバイヘリックスという装置もあります。バイヘリックスは下顎の歯列弓の幅を左右に広げることを目的とした固定式装置で、骨自体の幅はほとんど広がりません。

歯磨きや食事で装置が外れることはありませんが、繊維質のものが絡みやすく、少々食事に不自由を感じることもありかもしれません。クワドヘリックスやバイヘリックスは簡単には外れませんが、もし外れてしまった場合は早めに装置を持って歯科医院を受診してください。

・急速拡大装置(RPE)・・・急速拡大装置とは、装置の中央にネジが付いており、そのネジを一日に2、3回回して装置を上顎の歯列を拡大するための固定式装置です。文字通り急速に歯列を拡大することを目的とした装置で、小臼歯と大臼歯にバンドを固定してネジを回します。拡大期間はおよそ1カ月で、その後クワドヘリックス・トランスパラタルアーチ・リンガルアーチなどに変更して引き続き歯列の改善を行います。

急速拡大装置のメリットは、固定式で確実に上顎が広くなること、広がるスピードが速いこと、そして拡大する量が大きいことが挙げられます。その反面、違和感が強く出ることがあります。また、急速に拡大するため、治療途中で前歯の中央に大きな隙間ができることも特徴です。

・床拡大装置・・・取り外し式の装置で、中央部にあるネジを1週間に一度、90度に回して装置を拡大し、歯列の拡大をはかります。こちらは上下どちらの顎にも使用可能です。

お子さんの歯並びの乱れや不正咬合は、お子さんの将来にとっても気がかりなことばかりです。今回ご紹介した治療法は、抜歯の必要がなくお子さんにとって負担が少ない治療法とも考えられます。お子さんの歯並びの乱れを改善するためには色々な方法があります。矯正治療は早ければ早いほど効果が出やすく負担も少なくなります。できるだけ早めに歯科医院で相談されることをお勧めします。

 

 

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