機能的顎矯正装置:ムーシールド

機能的顎矯正装置:ムーシールド

受け口(反対咬合)の治療法はいくつかあり、治療の開始時期によって使用する装置が違ってきます。今回は受け口を改善するための装置「ムーシールド」についてお話をいたします。

ムーシールドについて

まだお子さんが小さく、歯列が乳歯の時期に、既に受け口と診断された場合に使われるのが、ムーシールドと呼ばれる装置です。受け口は3歳児検診で見つかることが多く、そのまま成長するに伴って下顎が発達し、受け口が顕著になって治療も大変になってきます。そのため受け口と診断された場合は、早期に治療を開始することで症状が改善することがあります。

ムーシールドとは透明のマウスピースをのようなもので、夜寝るときに装着して受け口の改善を目指すための装置です。舌の位置が低く、下顎を舌で前方へ押し出してしまう癖があるお子さんや、既に反対咬合を気にして早期に治療を開始したいと希望されている場合などは、ムーシールドを使って治療を開始することがあります。

ムーシールドは歯並びを整えるというよりは、お子さんの顎の成長を利用して、正しい噛み合わせに誘導するといった目的で使われます。ムーシールドを装着することで得られる効果は、次のとおりです。

・早期に治療を開始することで、受け口の改善を目指す

・舌圧と口唇圧のバランスを保つ

・舌が下がることを抑制し、舌を高い位置に保つ

ムーシールドのメリットは、痛みが少なく、お子さんへの負担も少ないこと、3歳くらいから開始が可能なこと、取り外し式のため、食事や歯磨きに支障がないことが挙げられます。

ムーシールドのデメリットは、ムーシールドによる治療で受け口が改善した後にも、成長に伴って下あごが大きくなると再び受け口になる可能性があることです。

ムーシールドの装着時間について

ムーシールドは、主に就寝中に使用します。しかしできるだけ長い時間装着することで効果が得られやすくなるため、できれば起きているときにも装着すると良いでしょう。まだ小さいお子さんは、起きているときにムーシールドを付けることを嫌がるかもしれませんが、例えばテレビやDVDを見ている間などを利用すれば、意識がムーシールドから外れやすくなるでしょう。

ムーシールドの装着期間は3~8か月くらいが目安です。上下の噛み合わせが正しく改善したあとも、1年ほどは継続して装着することをお勧めします。

ただ受け口の治療は予見が難しく、ムーシールドでの治療法が一概に正しいとは言えないこともあります。しかし受け口をそのまま放置しておくとどんどん悪化するため、受け口と診断された、お子さんが受け口かもしれないと心配な方は、早期に歯科医院を受診してください。

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