歯の形態異常

歯の形態異常

生まれつき通常と歯の形が異なることを、歯の形態異常(けいたいいじょう)と言います。今回は歯の形態異常にはどんなものがあるのかをご紹介します。

・矮小歯(わいしょうし)

矮小歯とは、通常の歯よりも大きさが小さい歯のことです。歯の形をそのまま小さくしたような形や、円錐形・栓状など正常とは異なる形のものなど形態は様々です。歯が小さいため、歯と歯の間にすき間が生じてしまい「すきっ歯」のような見た目にコンプレックスを抱く方が多いようです。

・巨大歯(きょだいし)

巨大歯とは、矮小歯とは逆に通常の歯よりも異常に大きい歯のことです。主に永久歯の前歯にみられることが多いです。顎の大きさとのバランスがとれないため、並びきれずにガタガタの歯並びや出っ歯になる場合もあります。

・癒合歯(ゆごうし)

何らかの原因により歯の卵である歯胚(しはい)どうしがくっついてしまい、そのまま完成した歯です。歯の外側(エナメル質・セメント質)だけでなく歯の内側の層(象牙質)、歯の神経(歯髄)までつながっている場合があります。乳歯だけでなく永久歯にも見られ、癒合部にある溝に汚れが溜まりやすく、虫歯に注意が必要です。

癒合歯の注意すべき点はこれだけではありません。癒合歯の40~45%において、後から生える永久歯が欠如していることが多く見られます。例えば乳歯2本が癒合している癒合歯は、あとから生えてくる永久歯が1本しかない場合が多く見られます。また生え変わりがうまくいかない場合もあり、歯並びの乱れや噛み合わせのズレに大きく影響します。

・癒着歯(ゆちゃくし)

癒合歯と似たような見た目と名前ですが、歯が生えた後に2本の歯のセメント質(歯の根っこの一番外側の層)だけがくっついたものです。そのため、それぞれの歯の神経は別々に分かれています。

・結節(けっせつ)の異常

生まれてくる前(胎生期)における何らかの発生異常の結果、歯の様々な部位に大きな結節(出っ張り)をつくる場合があります。歯の咬む面の中央にできる中心結節、上の奥歯の舌側にできるカラベリー結節などがあります。結節の部位によっては清掃しにくく汚れが溜まりやすい場合があり、虫歯リスクが高くなります。また中心結節は咬む面にあるため、結節が破折して神経が露出してしまう危険性もあります。

・歯根の形態異常

歯根彎曲(しこんわんきょく:歯根が大きく折れ曲がっている)、樋状根・台状根(といじょうこん・だいじょうこん:奥歯の歯根どうしがくっついて大きな塊になっている)、短根(たんこん:歯根の長さが生まれつき短い)などがあります。目に見えない部分の異常なので、レントゲンやCTを撮影したときに発見されます。歯根の形態異常があると、矯正治療で歯を動かしにくい場合があります。

・歯の形成不全(けいせいいふぜん)

何らかの原因によって歯が上手く形作られずに生えてくることを歯の形成不全と言います。形の異常と色の異常があります。全身的な病気・薬剤・遺伝などが原因の場合は左右対称に多くの歯に現れることが多く,局所的な原因(乳歯の炎症や外傷などで永久歯の歯胚にダメージが及んだ)の場合にはその部分の歯だけに異常が現れます。茶色っぽい・白っぽいなど生まれつき色が違う、生まれつき表面が削れたような形をしている歯は形成不全に該当します。歯の質自体が弱いことが多く、知覚過敏があったり、もろく崩れやすかったり、虫歯になりやすいこともあるため注意が必要です。

 

歯の形態異常を放置したら?

歯の形態異常は、歯並びの悪さや噛み合わせの異常を引き起こしやすく、そのままにしておくことで見た目だけでなく、虫歯や歯周病リスクが高まってしまう可能性があります。特に癒合歯の場合、高い割合で後に生えてくる永久歯がないため、全体的な噛み合わせの異常を引き起こしやすく、矯正治療によって正しい噛み合わせへ誘導する必要があります。

歯の形態異常がある場合は、状況に応じた治療を行うことで問題を回避できる可能性が高くなります。

 

 

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