矯正治療に伴う歯肉退縮について

矯正治療に伴う歯肉退縮について

成人の方が矯正治療を受けるケースが増えています。審美性の改善に加えて、歯の健康維持のために歯並びを整えることは推奨されるべきことですが、矯正治療に伴う副作用も存在します。そのひとつが「歯肉退縮」です。

成人の矯正治療で起こりやすいこととは

最近では成人の方でも矯正治療を行う方が増えています。中には50代、60代になって矯正治療を始められる方もおられます。基本的に矯正治療は、歯と歯ぐきが健康であれば年齢関係なしに受けることができます。

しかし成人の矯正治療で気を付けなければいけないことがあります。そのひとつが「歯ぐきの状態が変わること」です。

成人の矯正治療を希望される方の中には、歯周病の予防を目的とした方もおられます。歯周病は、ミドルエイジにおける歯の損失原因のトップとも言え、今では虫歯よりも歯周病によって歯を失う方が増えています。歯周病にならないために、あるいは歯周病治療を終え、再発を防ぐために矯正治療を始めるといったケースが増えてきているようです。

そこで気を付けるべきことが、先ほども述べた「歯ぐきの状態」です。歯ぐきが下がり、歯の根元が見えてしまうことを「歯肉退縮」といい、矯正治療後によく起こる症状として知られています。

歯肉退縮が顕著に表れる部位としては、前歯です。全ての方に起こるとは限りませんが、前歯が長めで歯ぐきが薄い方は、歯肉退縮が起こりやすくなります。特に歯周病の方は元々歯ぐきが下がっていることが多く、矯正治療を行うことでそのリスクがより高くなります。また、ガタガタの歯並びの場合も歯が並んできたときに隙間が現れてくる場合があります。歯ぐきが下がった部分は歯と歯の間に「ブラックトライアングル」として現れ、見た目が気になる方もおられるかもしれません。また歯肉の状態により、前歯ではなく他の部位に現れることもあります。

歯肉退縮が起きた場合の対処法

では矯正治療後に歯肉退縮が起きた場合、対処法はあるのでしょうか。歯肉退縮が起きた場合、回復させることは可能ですが歯ぐきの再生処置などが必要になり、かなり大掛かりになってしまうことがあります。

また歯肉退縮により歯根が露出し、知覚過敏の症状が出る場合は、知覚過敏用の薬を塗布したり、レジンによる処置などが行われます。

その他に気を付けるべきこととしては、歯周病にならないよう普段のブラッシングに細心の注意を払うことが挙げられます。歯と歯の境目のブラッシングを念入りに行わなければいけませんが、ゴシゴシと乱暴に力を入れてブラッシングすると、歯ぐきが下がる原因になり、矯正治療後に影響が出てしまう可能性があります。ブラッシングは優しい力で丁寧に行うようにしてください。

成人の方が矯正治療を行う場合、歯列を整えることだけでなく、歯ぐきのラインを整えることも予測しながら治療計画を立てることが大切です。

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