歯並びと歯の寿命の関係

歯並びと歯の寿命の関係

「8020運動」という言葉を見たり聞いたりしたことはありますか?これは、「80歳になっても20本以上自分の歯を残そう」という運動です。自分の歯が20本以上あれば、食生活にほぼ不自由することなく食事を楽しんでいただけます。そのためにはご自身の歯を失わないようにしなければいけませんが、歯の寿命と歯並びは深い関係があります。

歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病

成人の方の歯の本数は、親知らずを除くと上下左右合わせて28本です。乳歯から永久歯に生え変わった歯は、体の健康を維持する「食べる」という非常に大切な機能を持つことになります。年齢を重ねていくにつれ、口腔機能は少しずつ衰えていきますが、お手入れ次第で十分歯の寿命を延ばすことができます。実際、80歳を過ぎた方でも20本以上ご自身の歯が残っている方はたくさんいらっしゃいますが、残念ながらそれまでに歯をたくさん失う方が多いのが実情です。

その歯を失う主な原因とは、虫歯と歯周病です。どちらに感染しやすいかはお口の中の細菌の数にもよりますが、どちらも磨き残しが原因で起こります。磨き残しがプラークとなり、虫歯菌が多い場合は虫歯菌が集まって酸を出し、歯周病原菌が多い場合は毒素を出して口腔内のトラブルを引き起こします。

そしてこれら歯を失うプラークの蓄積の原因の一つに、「歯並びの悪さ」があるのです。

歯並びの悪さが歯の寿命に影響する

歯の健康を維持するために欠かせないのが、毎日のブラッシングです。お口の中に残る食べかすを歯ブラシやフロスなどできれいに取り除くことでプラークの形成を抑制し、虫歯や歯周病トラブルを低下させることは、お口の健康維持の基本であることはよく知られています。しかしどんなにブラッシングを頑張っても、デコボコした歯並びではどうしても磨き残しが出てしまいます。その結果プラークが蓄積し、虫歯や歯周病が発症しやすく、歯を失うリスクが高くなってしまいます。

また、実際に8020を達成された方々についての調査の結果でも、Ⅰ級咬合関係(前後的に上下の噛み合わせのずれがない状態)の歯並びのよい方が比較的多く見られることが分かっています。この理由はおそらく、バランスの良い噛み合わせでは、咬合の負荷が偏りにくいですが、バランスの悪い噛み合わせでは、ある一部の歯に対して咬合の負荷が大きくかかり続けて、結果的に歯の早期喪失を招くためと考えられます。

生涯ご自身の歯で食事を楽しんでいただくためには

ご紹介したように、歯並びと歯の寿命は深い関連性があることがわかっています。歯は失ってはじめてその大切さを痛感するものです。歯並びの悪さにお悩みの方は、見た目のコンプレックスばかり意識がいってしまいますが、ブラッシング不足や咬合圧の偏りによる歯の喪失という、より深刻な事態を招くリスクが高くなります。ご自身の歯を長持ちさせ、生涯ご自身の歯で食事を楽しむために、歯並びにお悩みの方はいちどかかりつけの歯科医院にご相談することをお勧めします。

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