お子さんの歯並びのお悩みのひとつに、出っ歯に代表されるような、上顎の過度の成長が挙げられます。このような症例に対してワイヤー矯正やマウスピース矯正を行う場合もありますが、矯正装置はお口の中に装着するものばかりではありません。上顎の過度な成長に対して使用されるのが「ヘッドギア」と呼ばれるお口の外に装着する装置です。今回はヘッドギアについてお話をいたします。
ヘッドギアとは?
ヘッドギアとは、過度に成長した上顎の成長の抑制、上の奥歯の位置の調整、つまり出っ歯や上顎が前方に突出している症例の改善を目的とした矯正装置です。帽子のように頭に被ったり、首の後ろにかけて使用するため、見た目にはあまり良くはありません。主にお子さんの第一期治療で使用されますが、第二期治療のワイヤー矯正との併用や、大人の症例でも使用することがあります。
ヘッドギアは上顎の過剰な成長を抑制し、下顎とのバランスを整えることができます。また上顎歯列全体が前方に突出しているケースにおいて、上顎の奥歯を後方に下げて、歯並び全体を後方へ移動させて噛み合わせのバランスを整えます。
ヘッドギアの仕組み
ヘッドギアは、フェイスボウと呼ばれている金属の装置、上顎の大臼歯に固定する装置、頭に被るヘッドキャップ(または首の後ろにかけるネックバンド)で構成されています。ヘッドキャップを頭に被ることで頭部を固定源とし、モジュールというゴムを使って上顎に対してを後ろへ引っ張る力をかけて移動させます。
ヘッドギアを装着する際の注意点
ヘッドギアは見た目に特徴があり、学校など外出時に装着することはありません。しかし12時間以上装着することで効果が表れるため、家にいるときや就寝時は必ず装着するのが望ましいです。食事や歯磨き、お風呂に入るときなどは外しても構いませんが、できるだけ長い時間装着しないと効果が表れにくくなります。
ワイヤー矯正などと違い、頭部に装置を被る形状のため、ケガに注意してください。特にスポーツをするとき、兄弟ケンカが起きたときなどはケガをしやすい状況です。スポーツの前は外し、ケンカが起きそうなときは仲裁しながらヘッドギアを外してあげるよう注意してください。
ヘッドギアを装着すると、奥歯が痛くなることがありますが、歯の移動に伴う痛みなので心配はありません。
奥歯に固定しているバンドやフェイスボウが外れてしまうことがあります。このような場合は、早めに歯科医院に相談して下さい。
ヘッドギアは特殊な見た目ですが、正しく使用するとその効果はかなり高いものがあります。出っ歯や上顎歯列全体が前方へ突出しているのが気になる方は、ヘッドギアによる治療が可能かもしれません。
お子さんの歯並びのお悩みの一つに「受け口(反対咬合)」があります。受け口は上の顎より下の顎が前に出ていたり、前歯のかみ合わせが下の前歯が前に出て反対になっています。審美面だけでなく、お口の健康にも大きく影響する受け口の治療法のひとつに「上顎前方牽引装置」と呼ばれる装置があります。いったいどんな装置なのでしょうか。
上顎前方牽引装置とは?
受け口は専門用語で「下顎前突」と呼ばれる不正咬合です。下顎前突の原因は、下顎骨が大きい(前に出ている)場合と上顎骨が小さい(後ろに下がっている)場合の大きく2つに分かれます。「上顎前方牽引装置(フェイスマスク)」が適応となるのは、上顎骨が小さい(後ろに下がっている)場合です。この装置は、上顎の骨の前方へ引っ張り、前方への成長を促すことで、かみ合わせの改善をすることを目的とします。
上顎前方牽引装置は「口腔外装置固定源(フェイスマスク)」「上顎口腔内装置」「牽引用のゴム」の3つのパーツで構成されています。使い方は、口腔内にリンガルアーチなどの装置を装着し、口腔外にフェイスマスクを装着してエラスティックというゴムをかけ、上顎を牽引します。
見た目が特殊な装置のため、家にいるときと寝ている間だけフェイスマスクを着けて引っ張ります。学校へ行くときは使用しませんのでお子さんも気になりません。
上顎前方牽引装置はいつ使う?
上顎前方牽引装置は乳歯列期から思春期ごろにかけて使用します。この時期は上顎が発達する時期でもあるため、この時期に治療を行うことで改善を試みます。装着期間はおよそ1年から1年半ぐらいです。
上顎前方牽引装置の注意点
上顎前方牽引装置を使った治療を行うときの注意点は以下の通りです。正しい使用方法を守ることで治療の効果を最大限に発揮させることができます。
毎日頑張って装着することが、噛み合わせの改善に繋がります
上顎前方牽引装置は家に帰ってから装着するため、少し面倒と感じるかもしれません。しかし、受け口をそのままにしていると下顎がどんどん前方に突出し、見た目が本当に「しゃくれ」となってしまいます。受け口をきちんと改善するためには毎日の装着がとても大切です。毎日頑張って装置を付けて、理想のかみ合わせに改善していきましょう。
お子さんの歯並びを改善する矯正治療には固定式の装置と取り外し式の装置があり、中には固定式の装置でも、歯の裏側にワイヤーなどが通ることで外から装置が見えない矯正装置もあります。今回はそのうちのひとつ、リンガルアーチについてご説明します。
リンガルアーチとは?
リンガルとは「舌側」のことで、リンガルアーチは日本語で「舌側弧線装置」、舌側つまり歯の裏側に針金を通して歯並びを改善する方法です。まずはリンガルアーチの目的をご紹介します。
・歯を裏側から押し出す、あるいは引っ張るときの土台
・ブラケットや上顎前方牽引装置を使うときの固定源
・第一大臼歯(6歳臼歯)が動かないようにとめておく
リンガルアーチは大臼歯や乳歯のいちばん奥の臼歯部を土台にして使用します。歯の裏側に沿っている針金をリンガルアーチと言い、周りの人からはほとんど見えることはありません。リンガルアーチは全ての歯に少しずつ充てるように作られています。デコボコしている歯並びでもリンガルアーチを歯に添わせるよう固定します。歯に負担がかかりにくい矯正装置で、痛みはそれほど強くありません。
リンガルアーチは第一期治療、つまり歯が生え変わる時期や顎の骨の成長を促すための治療として使われます。治療期間はお子さんのお口の中の状態により異なります。
大臼歯にバンドという輪っか状のものをひっかけてセメントで固定するため、外すことはできません。食事や歯磨きも、リンガルアーチを装着したまま行います。ブラケットがついていないことと唾液循環が良いことから、比較的虫歯になりにくい装置ですが、お口の中の清掃はきちんと行わなければいけません。
リンガルアーチで気を付けるべき点とは?
・装置を装着すると違和感や異物感を感じます。しかし気になるからと言って指や舌で触ると装置が壊れる原因となったり、指や舌が傷つくことがあります。
・装置を付けたまま食事を行っていただきますが、ガムやキャラメルなど粘着性の強いものや固いものは装置の破損に繋がることがあります。これらの食べ物はできるだけ控えるようにして下さい。
・装置が入っていると歯磨きがし辛く、装置の周りに汚れが残りがちになります。とくに歯の裏側に針金が沿っている部分は、歯と歯茎の境目に汚れが残りやすく、不衛生な状態が続いてしまいます。
なおリンガルアーチを装着すると舌に装置が当たりしゃべりにくく、一時的に活舌が悪くなることもあります。しばらくすると慣れますが、最初のうちはどうしても話し辛さがあるかもしれません。
お子さんの矯正治療には様々な種類があり、全て同じ装置で治療するとは限りません。今回は「2×4(ツーバイフォー)」と呼ばれる矯正治療法をご紹介します。
2×4(ツーバイフォー)とはどんな装置?
一般的な矯正治療としてよく知られているのが、歯にブラケットを付けて歯を動かすワイヤー矯正でしょう。ワイヤー矯正は永久歯にブラケットを装着して治療しますが、この2×4は、乳歯と永久歯が混在している混合歯列期において使用される治療法です。
2×4では、乳歯と永久歯が混在している時期、つまり上下4本の前歯が永久歯になった時、乳歯以外の永久歯にブラケットを付けて歯を動かします。前歯を真っすぐに並べる、前歯の位置を調整することなどを目的としています。
2×4の装置は、前歯4本に着けたブラケット、奥歯に着けた金属製のバンドとチューブ、そしてワイヤーから作られています。固定式の装置なので、自分で取り外すことはできません。
2×4の注意点
正確に歯並びを整えることが可能な2×4ですが、いくつか注意すべき点があります。
・歯磨きがし辛くなる・・・通常の歯ブラシでは磨きにくい部分が出てくるので、装置が入り組んだ部分などは毛先が小さな山型になったワンタフトブラシで磨くようにします。また磨き残しが出ないよう、泡立つタイプの歯磨き剤は少なめに使用してください。
・ワイヤーが外れてしまう可能性がある・・・ブラケットにワイヤーを通して歯を動かしますが、2×4ではブラケットを付けるのが永久歯のみで、乳歯部分はブラケットがないためワイヤーが固定されません。そのためワイヤーが強い力を受けると、奥歯に固定してあるチューブという部分からワイヤーが抜けてしまうことがあります。もしワイヤーが抜けてしまったら、速やかに歯科医院を受診して下さい。
・食べ物に注意する・・・ブラケット装着後、しばらくすると歯が動く痛みが出てきます。この痛みは数日で治まるため心配はいりませんが、歯が痛い間は恐らく柔らかく食べやすいものを召し上がると思います。痛みが治まって何でも食べれるようになると、肉やおせんべいなど噛み応えのあるものを食べた際にブラケットが取れてしまうことがあります。この場合修理が必要ですので、固い食べ物などに十分注意してあげて下さい。
・装置が粘膜に当たって痛い・・・ブラケットやワイヤーをはじめとした装置が粘膜に当たり、痛みを感じることがあります。そのまま我慢すると傷になったり、口内炎になることがあるため、装置が当たって痛い場合、早めに歯科医院を受診するようにして下さい。
矯正治療は、患者さんの歯並びや年齢、顎の状況など総合的に判断して、その状態に応じた矯正装置を使って行われます。今回は「拡大装置」と呼ばれる矯正装置についてご紹介します。
「拡大装置」とは?
顎の骨の幅が狭いと、正しい位置に永久歯が並ばず歯並びがガタガタになってしまいます。また、上下の歯列の横幅のバランスが悪いと、噛み合わせのずれや顎の変形につながる場合があります。このような症例でよく用いられるのが「拡大装置」という矯正装置を使って歯列や顎の骨の幅を広げる治療法です。主に乳歯と永久歯が一緒に生えている「混合歯列期」で使われます。
・クワドヘリックス
クワドヘリックスとは、側方拡大装置とも呼ばれる装置の名称です。バネの力で歯列の幅を拡大したり、傾いた奥歯を改善するための装置で、成長期のお子さんによく使われます。
クワドヘリックスは、上顎の歯列弓の幅を左右に広げることを目的とした固定式装置で、弱い力をかけてゆっくりと幅を広げていきます。歯列弓とは歯並びのアーチのことで、この幅を横へ広げ、歯列が正しく並ぶようにします。固定用の金属製のバンドと太いワイヤーからできており、金属のバンドを奥歯に固定し、ワイヤーの形状を変えながら徐々に力を加えて歯列弓を押し広げます。なおこの方法は上顎の骨自体はほとんど広がりません。
また、下顎用の装置で似たような形のバイヘリックスという装置もあります。バイヘリックスは下顎の歯列弓の幅を左右に広げることを目的とした固定式装置で、骨自体の幅はほとんど広がりません。
歯磨きや食事で装置が外れることはありませんが、繊維質のものが絡みやすく、少々食事に不自由を感じることもありかもしれません。クワドヘリックスやバイヘリックスは簡単には外れませんが、もし外れてしまった場合は早めに装置を持って歯科医院を受診してください。
・急速拡大装置(RPE)・・・急速拡大装置とは、装置の中央にネジが付いており、そのネジを一日に2、3回回して装置を上顎の歯列を拡大するための固定式装置です。文字通り急速に歯列を拡大することを目的とした装置で、小臼歯と大臼歯にバンドを固定してネジを回します。拡大期間はおよそ1カ月で、その後クワドヘリックス・トランスパラタルアーチ・リンガルアーチなどに変更して引き続き歯列の改善を行います。
急速拡大装置のメリットは、固定式で確実に上顎が広くなること、広がるスピードが速いこと、そして拡大する量が大きいことが挙げられます。その反面、違和感が強く出ることがあります。また、急速に拡大するため、治療途中で前歯の中央に大きな隙間ができることも特徴です。
・床拡大装置・・・取り外し式の装置で、中央部にあるネジを1週間に一度、90度に回して装置を拡大し、歯列の拡大をはかります。こちらは上下どちらの顎にも使用可能です。
お子さんの歯並びの乱れや不正咬合は、お子さんの将来にとっても気がかりなことばかりです。今回ご紹介した治療法は、抜歯の必要がなくお子さんにとって負担が少ない治療法とも考えられます。お子さんの歯並びの乱れを改善するためには色々な方法があります。矯正治療は早ければ早いほど効果が出やすく負担も少なくなります。できるだけ早めに歯科医院で相談されることをお勧めします。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、矯正治療の種類に限らず矯正治療中に、小さな輪ゴムのようなものを使うときがあります。このゴムを「顎間ゴム」といい、矯正治療に欠かせないものです。ではこの顎間ゴムとはどのような働きや効果があるのかについてご紹介しましょう。
顎間ゴムとは?
顎間ゴムとは、「ゴムかけ」や「エラスティックゴム」などともよあれ、矯正治療の途中で使われます。この顎間ゴムは医療用のゴムで作られており、体にも害はありません。
顎間ゴムの目的は、ブラケットとワイヤー、マウスピースなどの矯正装置による歯の移動を補助するように、細かな噛み合わせの調整をすることです。矯正装置によって歯が動き、歯並びがきれいに並んでも、正しい噛み合わせはまだ整っていません。矯正治療の最終的なゴールは歯並びの改善だけでなく、噛み合わせを正しく整えることです。矯正装置にゴムをかけて上下の歯を動かして安定した噛み合わせに導きます。
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、矯正装置は上下別々に装着するため、上下の歯を一緒に動かすことはできません。顎間ゴムは上下の歯を同時に動かすことができる、唯一の装置です。矯正装置は矯正治療の途中で顎間ゴムを使うことは、正しい噛み合わせを整えるために欠かすことができません。
ゴムはどうやってかけるの?使い方は?その他顎間ゴムによる問題点など
顎間ゴムは、矯正装置についているフックにゴムをかけて使用します。顎間ゴムにはいくつかの種類があり、ご自身で取り付け・取り外しの必要があります。
その他ゴムを使うことでいくつか問題点が生じます。顎間ゴムによる問題点は次のようなことが挙げられます。
・自分で取り外ししなければいけない
・口が開きにくい
・食事時は外さなければいけない
・長期間使うことで痛みが生じることがある
顎間ゴムは動かしたい歯の強さによって異なります。次の受診までの分が渡されるので、毎日取り替えるのは面倒と感じるかもしれません。しかし顎間ゴムを使う治療は、正しい噛み合わせを導くためには欠かすことができない大切な治療です。面倒でも、必ず毎日取り替えるようにしましょう。
もしゴムを使うことで痛みが出る場合、ゴムの種類が合っていないことが考えられます。ゴムを装着してから痛みを強く感じるようになった場合、早めに担当医に相談して下さい。
顎間ゴムを使うことで、噛み合わせが正しく整えられる
顎間ゴムは面倒かもしれません。しかし、顎間ゴムをきちんと使うかそうでないかで矯正治療の仕上がりや治療期間に大きな差が出てしまうことがあります。顎間ゴムは歯にかけるお薬と考えて、担当医の指示通りに使うことが治療の近道になります。
矯正装置が目立つのがイヤという声が多い反面、カラーゴムという矯正用のゴムを使って矯正装置を可愛らしくデコレーションして矯正期間を楽しむ人もいらっしゃいます。今回はこのカラーゴムに注目してお話を進めてまいります。
カラーゴムとは?
一般的なメタルブラケットを使ったワイヤー矯正は、歯にブラケットを装着してそこへワイヤーを通し、歯を少しずつ動かします。その際に、ブラケットにワイヤーを固定するために周りにモジュールと呼ばれるゴムが使われています。
このモジュールをカラフルで可愛らしいカラーモジュールに変えることで、矯正治療をファッションのように楽しむことができます。カラーモジュールは一般的にはカラーゴムと呼ばれており、海外ではよく見られる光景ですが、日本ではまだそれほど浸透していないようです。
カラーゴムにすることでどのようなメリットがあるのか?
矯正治療は「目立ってしまうからイヤ」とネガティブに捉えがちな傾向が強いです。しかしカラーゴムを付けることで、ファッションのような感覚で矯正をおしゃれとして楽しむことができます。よりポジティブな気分で、おしゃれを楽しみながら歯並びをキレイにしていくことで、矯正治療中も楽しく過ごすことができます。
例えばイベントや、ネイルの色に合わせてカラーゴムを変えたりと、色々な楽しみ方があります。
またカラーゴムは汚れが目立ちにくいというメリットもあります。一般的な白や透明のゴムは、毎日の飲食で汚れや着色が目立ってしまいます。これは色を吸収しやすいというゴムの特徴であり、飲食物の内容によっては次の受診日までにかなり汚くなってしまうこともあります。カラーゴムは特に色の濃いものであれば着色や汚れが目立ちにくいため、その点もカラーゴムのメリットと言えます。
カラフルで可愛いカラーゴムで、おしゃれな矯正治療を!
おしゃれで可愛いカラーゴムですが、取り扱っていない歯科医院もあります。ご興味を持たれた方は、ご自身が通っている歯科医院でカラーゴムを取り扱っているかどうか、まず確認してみて下さい。
矯正装置を可愛らしくデコレーションすることで、ワイヤー矯正に対する抵抗も薄れてくるのではないでしょうか。
インプラントと聞くと、まず思い浮かぶのが「失った歯の代わりとなる人工歯根」でしょう。しかし歯科用インプラントは人工歯根としてだけではなく、実は矯正治療でも使われるのです。今回は歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療(インプラント矯正)についてお話をします。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療とは?
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療とは、「アンカースクリュー」という小さなネジを歯ぐきの骨に埋め込んで固定源とし、歯を動かす矯正治療法です。
矯正用のインプラントであるアンカースクリューは人工歯根のインプラント体とは形状や大きさが全く異なります。アンカースクリューはチタン製の小さなネジで、矯正治療が終了したら撤去します。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療のメリット
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療は、従来のワイヤー矯正にはない大きなメリットを持ち合わせている治療法です。アンカースクリューを歯ぐきに埋め込むことで強固な固定源となるため、奥歯がしっかりと固定されたまま前歯を後方へ下げることが可能になります。つまり従来の矯正治療よりも大きく歯を後方へ動かすことができるのです。矯正用アンカースクリューを使うことで、奥歯も移動することが可能となるため、小臼歯の抜歯が回避できる可能性が高くなることも、メリットのひとつです。また歯をまとめて動かすことができるため、治療期間の短縮も期待できます。
そしてこの治療法では、外科手術でしか改善ができないと言われているガミースマイル(笑ったときに歯ぐきが多く見えること)も改善が可能と考えられています。外科手術は患者さんへの負担が大きいため、外科手術を回避できる可能性が高い歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療は、色々な可能性を秘めた治療法であると言えるでしょう。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療のデメリット
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療のデメリットとしては、歯ぐきにアンカースクリューを埋め込まなくてはならないことです。と言っても、人工歯根のインプラントとは違い、時間も短く出血もほとんど起こりません。
その他のデメリットは、アンカースクリューの脱落や破損、アンカースクリュー周囲の炎症が起こる可能性などが挙げられます。
メリットが多い歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療
ワイヤー矯正やマウスピース矯正に比べると、歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療はそれほど一般的ではないかもしれません。しかし歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療は、他の矯正治療にはない様々なメリットがある治療法です。特に歯を大きく移動させられることは、他の矯正治療にはない大きな特徴であり、治療期間の短縮にも繋がると考えられます。
数ある矯正治療の中に、透明なマウスピースをはめて歯並びを整える方法があります。今回は、マウスピース型矯正装置のひとつである「インビザライン」についてご紹介します。
マウスピース型矯正装置「インビザライン」とは?
従来の矯正治療では、歯にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かし、歯並びを整えますが、マウスピース矯正とは、マウスピースを交換しながら歯並びを治していく治療法です。マウスピース矯正にはいくつかの種類がありますが、最近ではアメリカが発症の地である「インビザライン」というマウスピース矯正が主流となっています。
インビザラインとは、米アライン・テクノロジー社が作製するマウスピース型矯正装置のことで、80を超える諸外国で導入されていると言われています。日本でもインビザラインを取り入れている歯科医院が増えてきています。
インビザラインのメリット
インビサラインに限らず、マウスピース矯正全体に言えるメリットは、「透明で目立たないこと」「取り外し式で食事や歯磨きに困らないこと」です。これに加えてインビザラインでの大きなメリットは、「歯型取りが一度で済むこと」そして「クリンチェックという独自のソフトを使って歯の動きをシュミレーションし、最終的な歯並びが目で確認できること」です。この二つの特徴は他のマウスピース矯正にはなく、インビザライン独自のメリットと言えます。
アライナーと呼ばれるインビザラインのマウスピースを作製するために歯型を取りますが、一般的な印象材を使うのではなく、光学スキャンを使って歯型を取ります。そのため吐き気を感じることもほとんどありません。採取したデータは米国アライン社に送られ、アライナーが数十枚作製されます。患者さんは「こんなに多くのアライナーがいちどに送られて。本当に歯並びが改善されるの?」とびっくりするかもしれませんが、これには理由があります。
と言うのも、アライン社独自の「クリンチェック」というソフトウェアを使って歯の動きシュミレーションし、計画した歯の動きに合わせて全てのアライナーを作製するためです。クリンチェックでは患者さんも一緒にモニターで歯の動きを確認し、最終的な歯並びを目で確認することができるため、矯正治療に対するモチベーションを保つことにも効果があります。
このように、インビサラインは他のマウスピース矯正にはない独自のシステムがあり、このことが大きなメリットであると言えます。
インビザラインのデメリット
では逆にインビザラインのデメリットはどこにあるのでしょうか。それは、全ての症例に対応できないかもしれないということです。抜歯を伴うケースや難症例と診断されたケースでは、インビザラインでは対応できないこともあり、この場合はワイヤー矯正となってしまいます。中には難症例でもインビザラインで対応できることもありますが、高度な技術と見識を持った歯科医師でないと難しいことがあります。
インビサラインでの治療を検討している場合、歯科医院選びが重要
インビザラインは他のマウスピース矯正にはない優れた特徴を持つ治療法です。インビザラインでの矯正治療を考えている方は、歯科医院選びがポイントになります。インビザラインでの症例が多い歯科医院や認定医や専門医の資格をもった歯科医師がいる歯科医院を選ぶことが、スムーズな治療に繋がるでしょう。
矯正治療おいて最もオーソドックスなワイヤー矯正は、お口を開けたときにすごく目立ってしまうため、矯正治療を躊躇する方もいらっしゃるでしょう。今回は金属色ではなく、白いワイヤーを使った目立ちにくい矯正治療をご紹介します。
目立たないワイヤー矯正とは?
ブラケットとワイヤーを使ったワイヤー矯正は、ほぼ全ての症例に対して効果を発揮し、開咬など難しいケースなどにも幅広く対応することができる治療法です。
しかしワイヤー矯正は装置が金属でできているメタルブラケットおよびメタルワイヤーが標準となるため、お口を開けたときに大変目立ってしまいます。そのため歯並びを治したくても矯正治療をしたくない、という声もよく聞かれます。
白いワイヤーを使った矯正治療について
「周りに目立つことなく矯正治療がしたい」。このようにお考えの方が思い浮かぶのは、透明なマウスピース矯正かもしれません。確かにマウスピース矯正は目立たず歯並びを整えることができることから人気を集めています。しかし、マウスピース矯正はワイヤー矯正より適用範囲が狭く、症例によってはマウスピースで治すことが難しい場合もあります。そこでご紹介するのが、白く目立たないワイヤー(ホワイトワイヤー)を使った矯正治療です。最近では審美面を考慮し、白や透明のブラケットやワイヤーを使ったワイヤー矯正が増えています。ホワイトワイヤーは、メタルワイヤーに白いコーティングをしているため、従来の装置のように目立つことはなくなります。
ホワイトワイヤーの長所
ホワイトワイヤーの長所は、なんといっても目立たずに矯正治療ができるところです。ホワイトワイヤーは近くで見てもほとんど目立たず、周囲から矯正治療を行っていることがほとんどわかりません。メタルブラケットとメタルワイヤーによる矯正治療のデメリットがそのままメリットになると言っても良いでしょう。また汚れにくい素材のため、着色の心配もほとんどありません。
ホワイトワイヤーの短所
ホワイトワイヤーのデメリットは、メタルブラケットおよびメタルワイヤーと比べると費用が高くなることです。またホワイトワイヤーはワイヤー自体が白いわけではなく、メタルワイヤーを白くコーティングしたものです。そのため歯磨きや強い摩擦、刺激によりコーティングが剥げてしまうことがあります。透明なマウスピースと比べると、やや装置が目立ってしまうため、どちらかといえば「目立ちにくい」装置だと言うべきかもしれません。
そして従来のワイヤー矯正と同じく、歯磨きがし辛いため虫歯などになりやすいこともデメリットのひとつです。
従来の装置に躊躇している方へ
メタルブラケットは確かに装置が目立ってしまうため、躊躇してしまうのも無理はありません。しかしご紹介した目立ちにくいホワイトワイヤーを使ったワイヤー矯正ならそのような悩みを軽減することができます。特に接客業や人前に出る方、矯正装置が目立つことが嫌な方は、いちど相談してみて下さい。