矯正治療の医療費控除

矯正治療の医療費控除

矯正治療は自費治療のため、高額な治療費が必要になります。そこでご紹介したいのが、矯正治療における「医療費控除」です。矯正治療はしたいけど高いから・・・と躊躇されている方は是非参考にしてみてください。

医療費控除について

医療費控除とは、一年間で病気や出産などで多くの医療費を支払った場合、医療費控除によって納めた税金の一部が返ってくる制度を言います。高額な治療費を支払った場合、確定申告を行いますが、支払った医療費の金額に応じて税金を計算されます。歯科治療においても医療費控除の対象となるものがあるため、医療費控除の制度を利用して治療費を抑えることができます。

一年間の医療費の合計が10万円を超えると、医療費控除を受けることができます。医療費控除の対象となるものは色々あるため、医療費控除が受けられるかどうか確認してみましょう。そのためには領収書をきちんと取っておいてください。

また医療機関にかかった交通費のうち、電車やバスといった公共交通機関の交通費も医療費控除の対象となります。しかしマイカーやガソリン代は対象となりません。矯正治療のため遠方へ通院している方は、公共交通機関の領収書を忘れずに取っておきましょう。

矯正治療における医療費控除が適用となるケースとは?

審美目的の治療では、医療費控除にはなりません。例えばホワイトニングは白く美しい歯にする審美目的の施術で、医療費控除の対象にはなりません。では矯正治療はどうでしょうか。歯並びをきれいに整えるという意味で、審美目的では?と思われる方がほとんどだと思いますが、矯正治療では以下のケースにおいて、医療費控除が認められます。

・子どもの矯正治療・・・子どもの矯正治療の場合、医療費控除の対象になります。その理由は、発育段階において歯並びや噛み合わせの異常があると、その後の歯や顎の成長に影響が出てしまう恐れがあるためです。

・咀嚼障害や発音障害など歯の機能障害として認められる場合・・・成人では、咀嚼や発音に問題があった場合に医療費控除が認められます。歯の機能が問題となり、しっかり噛めない、発音が不明瞭などという場合「咀嚼障害」や「発音障害」というような診断名が付けられます。このような病名が付いた場合、医療費控除の対象になります。

矯正治療はお子さんの場合は医療費控除の対象となりますが、成人の場合は全てが対象になるとは限りません。成人の方で、自分は控除の対象になるのかどうか確認してみることをお勧めします。

 

 

矯正治療に保険が適用できるケース

矯正治療は通常は自費治療であり、保険が適用となるケースはかなり限られています。では矯正治療で保険が適用となるのはどのような場合なのでしょうか。

矯正治療で保険が適用となるケースとは?

歯並びが悪い、出っ歯が気になるなど、歯並びの問題はまずその見た目に原因があると思います。これは審美性の問題であり、見た目を改善することを目的とした治療は保険適用できません。同じような意味で、ホワイトニングやインプラントも審美性を重視するため保険適用外となります。そんな中、矯正治療では下記のケースに限り、保険が適用されることがあります。

・顎変形症

顎変形症とは、上顎や下顎の大きさや形に異常があり、上顎と下顎の大きさのバランスが悪いことで噛み合わせに異常が起こる不正咬合、顔面の変形があることを言います。顎変形症かどうかは、矯正歯科(顎口腔機診断料が算定可能な施設)や口腔外科、形成外科で診断されます。成人の場合、顎変形症は通常の矯正治療では改善できないことが多く、外科処置が必要となります。出っ歯や受け口などの不正咬合が顎変形症に起因していると診断され、外科手術の適応と判断された場合に、保険適用となります。

・唇顎口蓋裂などの疾患に起因する咬合異常

厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療の場合、保険適用で矯正治療を受けることができます。主な疾患として、唇顎口蓋裂・ダウン症候群・6歯以上の先天性部分(性)無歯症など、現在53の先天疾患が定められています。

・前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)

 

保険適用される矯正治療を行うことができる保険医療機関のリストは、日本矯正歯科学会のホームページに掲載されています(http://www.jos.gr.jp/facility/)。

 

顎変形症に伴う保険適用で必要な治療について

出っ歯や受け口は保険適用外治療になることが多いですが、もしその原因が顎変形症によるものと診断された場合、保険適用で治療を受けることができます。しかし保険適用となる条件には、顎の外科手術が必要であること、指定の医療機関または施設で治療を受けることが定められています。今度は顎変形症に伴う保険適用治療のプロセスをご紹介します。

1.外科手術前に行う矯正治療・・・顎の骨の外科手術を受ける前に、矯正歯科で歯列矯正を受けます。通院期間は半年~1年ほどです。

2.顎の骨の手術および入院・・・保険適用には顎の骨の手術が必要不可欠です。決められた日に顎の骨の手術を行います。また日帰りはできず、1週間から4週間程度の入院期間が必要です。

3.退院後の矯正治療・・・顎の骨の手術に伴う入院期間が終わったあとは、再び歯列矯正を行います。治療期間は症例により異なりますが、およそ半年~1年ほどが多いようです。

4.保定期間・・・歯列矯正で整えた歯並びが後戻りしないよう、一般の歯列矯正と同じように保定期間に入ります。

 

自分の症例が顎変形症によるものかどうかは歯科医師に確認を

保険適用で矯正治療を受けることができるケースについてお話しました。もし歯並びの悪さや不正咬合の原因が顎の骨の変形と診断された場合、保険適用で治療することができます。金額的にも保険と自費では大きく異なりますが、外科手術が不安と感じるかもしれません。しかし、歯並びを整えることで得られるメリットは非常に多いため、歯並びの悪さや不正咬合にお悩みの方は、いちど歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか。

矯正治療の費用はどのぐらいかかる?

矯正治療の心配事といえば、費用面ではないでしょうか。矯正治療はほとんどのケースにおいて自費治療となるため、治療費が高くなってしまいます。矯正治療には色々な方法がありますが、治療法によっても金額が変わってきます。では矯正治療ではどのくらいの費用が必要なのでしょうか。

矯正治療に必要な費用とは?

矯正治療にかかる費用は、装置代だけではありません。矯正治療を開始するにあたり、それぞれ費用が発生します。その費用の内訳は主に以下に挙げるものになります。

・相談料(無料~約5,000円)・・・初めて矯正治療を受けるときに必要な費用です。歯科医院によってはこの相談料が無料のところもあります。

・検査料(約30,000~50,000円)・・・検査とは、お口の中の状態を詳細に把握するもので、口腔内の診察、レントゲン撮影、口腔内写真の撮影、歯型取りなどを行います。この検査は骨格や歯の状態を把握するために欠かせない検査です。もしこの時に虫歯や歯周病などが見つかった場合、矯正治療を開始する前にこちらの治療を済ませておく必要があります。

・診断料および装置料(成人の場合:約600,000~1,000,000円程度)・・・診断料とは、検査結果により矯正治療が必要かどうか、抜歯の必要性の有無そして矯正方法などを診断するための費用です。装置料は、小さなお子さんと成人では矯正方法も異なるため、費用が大きく異なることが多いです。また、裏側(舌側)矯正の場合、他の矯正治療よりも高くなります。

お子さんの場合、第一期治療と第二期治療に分かれます。第一期治療は顎の成長を促すための矯正治療で、費用は20万程度のところが多いようです。引き続き第二期治療に移行した場合、別途料金が必要となります。

・調整料(約3,000~5,000円)・・・矯正治療が始まると、およそ月一回の診察があります。歯が順調に動いているかどうか、虫歯はないかなど口腔内の確認のほかワイヤーの調整、マウスピースの交換といったことが行われます。

なお虫歯や歯周病、歯のクリーニングおよび矯正治療に関連した口腔ケアグッズ購入などは別途料金が必要になります。

歯科医院によっては相談料、検査料、調整料などが最初のお支払いに全て含まれていることもあります。矯正代金に何が含まれているのか、よく確認しましょう。

支配総額をよく確認しておきましょう

矯正治療はトータルの費用が高くなるため、支払いに不安を感じてしまうかもしれません。まずは支払総額がどのくらいかかるかをよく確認しましょう。歯科医院によってはデンタルローンやクレジットカードでの支払いが可能なところもあります。支払方法も含め、費用は明確にしておくことが大切です。

 

 

 

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