親知らずは抜歯したほうがよい?

親知らずは抜歯したほうがよい?

矯正治療を考える際、気になる項目の一つに「親知らず」があります。親知らずが生えている、または存在が認められる場合、歯並びに影響することも考えられますが、親知らずがあると必ず抜歯が必要になるのでしょうか。

親知らずについて

親知らずとは、永久歯の中でいちばん奥に位置する歯で、専門用語で「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」または「智歯(ちし)」と呼ばれています。永久歯の数は、親知らずを除くと上下左右28本あり、だいたい15歳前後くらいで生え揃います。親知らずが生えるのはだいたい10代後半から20代くらいですが、必ずしも全員が生えるとは限りません。親知らずが4本すべて生える人、3本しかない人、存在しているが生えずにそのまま歯ぐきの中に埋まっている人、生まれつき1本もない人など様々です。また親知らずはいちばん奥に生えていることで歯磨きがし辛く、虫歯や歯周病などのトラブルが起こりやすい歯でもあります。半分しか顔を出していない「半埋伏(はんまいふく)」の状態は、特に汚れが溜まりやすく歯ぐきが腫れる原因となりやすいです。

親知らずと歯並びとの関係

では親知らずがあることで、歯並びにどのような関係があるのでしょうか。親知らずが上下4本ともきれいに生えており、噛み合わせに何ら問題がない場合はそのままにしておくことがほとんどです。しかし、親知らずが斜めに生えていたり、横向きで生えてしまっている場合などは、親知らずが隣の歯を押してしまうことで歯並びが悪くなる恐れがあります。また歯ぐきの中で横向きになって埋まっている場合も、歯並びに影響することがあります。

親知らずは必ず抜歯する?

では矯正治療において、親知らずは必ず抜歯する必要があるのでしょうか。親知らずの抜歯が必要となる主なケースは、以下のとおりです。

  • 親知らずが歯並びに影響するケース・・・矯正治療の際に親知らずを放置しておくことで歯並びに悪影響が出ると予想される、もしくは親知らずがあることで既に歯並びが悪くなっているケースでは、親知らずを抜歯する可能性が高くなります。

 

  • 親知らずが傾斜していて隣の歯の歯根が吸収しそうになっているケース・・・親知らずが傾斜して隣の歯の歯根にぶつかると、隣の歯の歯根が吸収してしまうことがあります。そのような兆候がみられた場合は早めに抜歯することがあります。

 

  • 親知らずが矯正治療の邪魔になるケース・・・矯正治療の計画上、奥歯の移動や歯列の遠心移動などが必要になった場合、親知らずが邪魔になる位置にあるケースでは、治療開始前に抜歯することがあります。

 

  • 抜歯することで矯正治療後の後戻りを防止するケース・・・矯正治療後に歯が元に戻ろうとすることを「後戻り」と言いますが、特に顎が小さい方は後戻りしやすい傾向があるため、親知らずを抜歯しておくケースが多く見受けられます。

 

  • 親知らずが虫歯になっているケース・・・親知らずは虫歯リスクが高い位置にあるため、親知らずが虫歯になっていると抜歯になることがあります。

 

  • 親知らずの周りが歯周炎になっているケース・・・親知らずの周りの歯ぐきが腫れを繰り返しており、歯みがきなどの通常のケアでの改善が難しい場合、抜歯となることがあります。

親知らずの抜歯については、まず矯正歯科に相談を

ご紹介したように、親知らずの存在が歯並びなどに悪影響を及ぼすことがあります。抜歯すべきかどうかは歯科医師の判断によりますが、矯正治療を考えている場合、まず矯正歯科で相談されることをお勧めします。というのも、状態によっては親知らずを残し、治療に使うケースもあるからです。ご参考にされて下さい。

美しい口元の条件

「美しい口元とは?」と聞かれたら、どのような口元をイメージしますか?整った歯並び、芸能人のように白く輝く歯・・・。美しい口元は清潔感に溢れ、相手に好印象を与えます。このように、口元の美しさはその人の印象を作り出す、大変重要な因子です。では美しい口の条件にはどのようなものがあるのでしょうか。

「美しい口元」の条件とは?

人が「美しい」と思う口元は、ただ単に歯並びが良いというだけではありません。正面から見た唇と歯並びとのバランスや横から見た「横顔の美しさ」も、美しい口元の条件のひとつなのです。周りの人が「美しい口元」と感じるのは、どのような条件なのでしょうか。

・スマイルライン・・・スマイルラインとは、微笑んだときにできる、上の前歯の先端を結んだラインを言います。正面から見たときに、このラインが下唇のラインに沿って緩やかなカーブを描いていると美しく見えます。理想的なスマイルラインは、美しい口元の基本です。

・Eライン(エステティックライン)・・・Eラインとは、横から見たときの鼻と顎の先端を結んだラインを言います。理想的なEラインの基準は、「上下の唇がEラインに触れず、少し後ろに位置する」状態と言われています。

スマイルラインとEラインの調和が取れている口元は、理想の口元と横顔と言えます。

「美しい横顔」のもうひとつの条件「鼻唇角」

美しい口元と横画の基準であるスマイルラインとEラインの他にもうひとつ、美しい横顔を構成する条件があります。それは「鼻唇角」という、横から見たときの鼻と唇のなす角度です。横から見たときの「鼻の先端から鼻の付け根までのライン」と「鼻の付け根から上唇までのライン」の角度のことを言います。日本人の理想的な鼻唇角は90度~100度と言われています。日本人の場合、欧米人と骨格が違うため理想とする鼻唇角の角度は欧米人とは若干異なります。

歯並びの悪さや不正咬合は、口元の美しさを低下させてしまいます

ガタガタの歯並びや出っ歯、受け口などの不正咬合は、笑ったときのスマイルラインや横から見たEラインの基準から大きく外れてしまいます。また、歯並びそのものは悪くなくとも、笑ったときに上の歯ぐきがたくさん見える「ガミースマイル」なども、審美要素を低下させてしまいます。

矯正治療では、歯並びや不正咬合を治療するだけでなく、美しい口元と横顔のバランスを考えなければいけません。そのために、矯正治療開始前には検査を行って、歯並びやかみ合わせだけでなく、口元や横顔のバランスを加味した治療計画を立てる必要があります。骨格などの問題がある場合は、完璧に理想的な状態にすることが難しいこともありますが、出来る限り基準値へ近づけるように計画を立てます。また口周りの筋肉を鍛え、全体的なバランスを取ることも、美しい口元を作り出すために必要となります。

乳歯が早く抜けてしまったら

乳歯は、永久歯が生えてくる時期になると自然と抜け落ち、その役目を終えます。ところが生え変わりの時期を待たずに、ひどい虫歯などで乳歯を抜かなければならなくなった場合、後から生えてくる永久歯の歯並びに影響が出てしまうことがあります。ではもし乳歯が生え変わりの時期よりも早く抜けてしまったらどうすればよいのでしょうか。

乳歯は永久歯と生え変わることで自然と抜け落ちます

乳歯は上下左右合わせて20本あり、下から大人の歯、つまり永久歯が生えることで次第にグラグラし、自然と抜け落ちます。しかし下から永久歯が生えてきているにもかかわらず、なかなか抜けない場合は歯科医院で抜歯するケースもあります。いずれにしても、乳歯は永久歯の生え変わりを待って役目を終えます。乳歯の歯並びは永久歯の歯並びにも大きく関わるため、乳歯は生え変わりまで大切にしておかなければいけません。

早期に乳歯を失ってしまったら?

乳歯はいずれ抜けるから虫歯になっても大丈夫、とお思いになっていませんか?確かに乳歯は永久歯が生えると役目を終えますが、乳歯には、永久歯を正しい歯列へ導く大切な役目があります。もしも永久歯が全然生えてきていないにもかかわらず、ひどい虫歯などで早期に乳歯を抜くことになった場合、両隣の乳歯が倒れ込んできて、永久歯が並ぶスペースを狭くしてしまいます。その結果永久歯列が乱れ、ガタガタの歯並びになってしまうことがあります。

どうせ抜けてしまうから乳歯が虫歯になっても大丈夫なのでは?と楽観視していると、お子さんの将来の歯並びに大きく影響し、後から悔やむ結果となってしまうかもしれません。

早期に乳歯を失ってしまった場合の対処法について

もし永久歯が生える気配がないまま乳歯を失ってしまった場合、永久歯が正しい位置に並ぶためのスペースの確保が必要です。そのためには「保隙(ほげき)装置」という装置を装着します。保隙装置を装着することで両隣の歯の傾斜を防ぎ、永久歯のスペースを確保することが可能となります。

保隙装置を装着する目安は、早期に乳歯が抜けてから永久歯が生えるまで半年以上かかるという予想がつく場合です。保隙装置は小児歯科や矯正歯科で作ることができます。

保隙装置にはいくつかの種類があり、お子さんのお口の中の状態によって使われる保隙装置は異なります。なお保隙装置は歯並びを治すための矯正装置とは違うため、永久歯が生えてきたら外します。

矯正装置と同じように、保隙装置が付いていると装置の周りに汚れが溜まりやすくなります。お子さんがまだ小さいうちは、保護者の方が仕上げ磨きを行い、お口の中を清潔に保ってあげることも大切です。

そして何よりも大切なことは、乳歯を大切にすることです。どうせ抜けるからと虫歯になりやすい食生活を送っていると、将来の歯の健康や歯並びにも大きく影響してしまいます。大切なお子さんの乳歯を守ってあげましょう。

何歳まで矯正治療はできる?

歯並びを治したくて矯正治療を始める方の年齢は、まだ小さな子どもであったり中学生など人目が気になり始める思春期、あるいは社会人になるタイミングで歯並びを治したいと感じる20代前後など比較的若い場合が多いです。しかし最近では年齢を重ねてから矯正治療を始めたいとお考えになる方も決して少なくはありません。では矯正治療は何歳まで受けることができるのでしょうか。

歯並びが悪いことで起こるリスク

年齢を重ねるにつれて、お口の中には色々なトラブルが起きやすくなります。そして症状が悪化すると歯を失うことになりかねません。その代表的なトラブルが、虫歯と歯周病です。虫歯は小さなお子さんにもよく起こりますが、歯周病は30代以降に表れやすい病気で、今では虫歯よりも歯を失うリスクが高いとも言われている病気です。歯周病のやっかいなところは、虫歯のように痛みをあまり感じないまま症状が進行してしまうことです。そのため気づいたときには歯がグラグラし、抜け落ちてしまうような段階まで歯周病が進行してしまっている可能性があります。

虫歯や歯周病のかかりやすさはお口の中の環境に依存しますが、その要因のひとつに「歯並びの悪さ」があります。歯並びが悪いと歯ブラシの毛先が細かいところまで届かず汚れが残り、細菌の温床となるプラークが溜まりやすくなります。

結果として、歯並びの悪さは虫歯や歯周病など歯を失う原因に深く関連していると言われています。

矯正治療ができる年齢には制限がある?

矯正治療は歯並びを美しく整えることが大きな目的ですが、同時に歯の健康を守るという大切な役目も担っています。歯並びの悪い方は矯正治療を行ってメンテナンスしやすい歯並びを得ることで、歯のトラブルが起こるリスクが低くなる可能性があります。では矯正治療ができる年齢に制限はあるのでしょうか。

基本的には、ある程度年齢を重ねて、高齢と言われる年代でも矯正治療を受けることはできます。つまり矯正治療を受けるのに年齢制限はありません。ただし、歯を動かすにあたり、歯を支える歯槽骨や歯ぐきに問題がないこと(歯を動かしたい方向に十分な骨の量があること・歯ぐきが著しく下がっていないこと・骨の代謝に著しい異常がないこと等)が前提となります。

矯正治療では、歯に矯正装置を付けて歯に力を加え、少しずつ歯の周りの骨を作り変えながら歯を動かしていきます。また、矯正治療後の歯並びの安定のためには、歯の周りの歯槽骨や歯ぐきの安定が必要となります。そのため、矯正治療を受けるためには歯槽骨や歯ぐきが健康な状態でなければいけません。

また、全身的なご病気でお薬を飲まれている場合、お薬の種類によっては歯の移動がしにくくなっている場合があります。特に骨の代謝に関わるような作用があるお薬の場合は注意が必要となります。

50代や60代になると、虫歯だけでなく歯周病の罹患や進行が気になります。もし歯周病が進行していると、まず歯周病の治療を優先しなければいけません。そのうえで矯正治療ができるかどうかを判断することになります。

お口の健康維持のためにどのような方法で治療を行うのが最善の方法であるかを歯科医師と相談し、治療方針を決めていくことがベストでしょう。

歯科でのレントゲン被ばく量はどのくらい?

歯科治療や矯正治療に欠かせないと言っていいのが「レントゲン撮影」です。レントゲン撮影を行うことで虫歯の有無、歯槽骨の量や乳歯、永久歯の数などほぼあらゆる状態が把握できます。しかしレントゲンと聞くと、気になるのが放射線の被ばく量ではないでしょうか。では実際、歯科治療で必要なレントゲン撮影時の放射線被ばく量はどのくらいの量なのでしょうか。

歯科治療で行われるレントゲンの放射線被ばく量はごく微量

結論から言うと、歯科治療で使われるレントゲンの被ばく量は、ごく微量です。

私たちが生活している中で、自然界からの放射線というものが存在しており、その量は1年間で平均1.5~2.4ミリシーベルトと言われています。

歯科治療で、お口全体の撮影を行うパノラマレントゲン撮影の1枚あたりの放射線被ばく量は、約0.03~0.05ミリシーベルト、局部的に撮影するデンタルレントゲン撮影においては約0.01ミリシーベルト、歯科用CT撮影では0.2ミリシーベルトと、自然界に存在する放射線と比べると、非常に微量であることがおわかりいただけると思います。

政府が出している放射線の安全基準値から考えると、安全基準値を超えるには1年間でおよそ2000枚のデンタルレントゲンを撮影することになり、1日で換算すると、1日あたりおよそ5~6枚のレントゲン写真を毎日撮り続けることで、ようやく危険水域に達すると考えられています。いくらなんでも、歯科治療で一年間にこれだけの枚数のレントゲン写真を毎日毎日撮ることは、まずありえません。

またほとんどの歯科医院ではレントゲン撮影時に鉛の入った防護エプロンを着用してレントゲン撮影を行います。重いですが、この防護エプロンを着て撮影すると、被ばく量は1/10となり、ほとんど問題にならない量になります。

歯科治療や矯正治療におけるレントゲン写真の重要性

ご紹介したように、歯科医院で撮影するレントゲン撮影の被ばく量は、ほとんど気にならない程度と考えられています。ここにプラスして防護エプロンを装着することで、より問題やリスクを抑えることができます。

歯科治療や矯正治療では、レントゲン写真なしで治療を進めていくことはまずありえません。レントゲン写真から多くの情報を得ることで、治療内容や治療方針が決定します。特に矯正治療においては、乳歯時代の永久歯の有無や顎の骨の状態、欠損歯や過剰歯の有無など、矯正治療に必要な多くの情報をレントゲン写真から得ることができます。

最近の歯科での設備はより安全で高性能なものが開発、導入されています。皆様に安心して治療を受けていただくために、歯科医院側も常に安全に配慮した環境を整えるようにしていますので、レントゲンに限らず、もし何か疑問があればご質問いただければと思います。

矯正装置の選び方

歯並びや噛み合わせを治すための矯正装置には、主に二つの装置があります。ブラケットにワイヤーを通して歯を動かす「マルチブラケット装置(ワイヤー矯正装置)」と、透明なマウスピースを交換しながら歯を動かす「マウスピース型矯正装置」です。いろいろな種類があるため、どんな矯正装置を使って治療をするのが良いのか迷うこともあるかと思います。今回は代表的な矯正装置であるマルチブラケット装置(ワイヤー矯正装置)とマウスピース型矯正装置の違いについてお話します。

ワイヤー矯正装置とマウスピース型矯正装置、それぞれの違いは?

・マルチブラケット装置(ワイヤー矯正装置)

歯の表面にブラケットという小さな装置を付け、そこへワイヤーを通して歯を少しずつ動かす、固定式装置を使った治療法です。矯正装置の中でも歴史が古く、最もオーソドックスな治療法です。メリットは、ほとんどの症例に対して効果が高いことです。難しい症例や、オープンバイトなどの不正咬合にも対応できる、オールマイティな治療法と言えます。

デメリットは、矯正装置が目立つことです。保険診療でも使用される標準的な装置はメタルブラケットという金属素材の装置で、お口を開けたときに装置がギラギラととても目立ちます。審美ブラケット(透明や白のブラケット)やホワイトワイヤー(表面が白い素材でコーティングされたワイヤー)を使うことで目立ちやすさは緩和できますが、メタルブラケットに比べると費用が高くなります。また固定式のため歯磨きがし辛く、汚れが残りやすいため虫歯や歯肉炎になりやすいというデメリットがあります。

マウスピース型矯正装置

インビザラインに代表されるマウスピース型矯正装置は、透明なマウスピースを交換しながら歯を少しずつ動かして歯並びや噛み合わせを整えます。マウスピース型矯正装置のメリットは、目立たずに矯正治療が進められることです。近くで見ても、マウスピースをはめていることがほとんどわかりません。また食事や歯磨きやしやすいことも、マウスピース型矯正装置の良いところです。

デメリットとしては、全ての症例に対応できないかもしれないことです。骨格的な問題がある場合や抜歯が必要な場合などの難しい症例では、ワイヤー矯正装置を選択したほうが良い結果が得られると予想されることもあります。また、装置を着けるのをさぼったり忘れたりすると治療が上手く進まなくなるため、ご自身での装置の使用状況が治療結果に強く影響します。

歯磨きはしやすいですが、マウスピースが唾液の循環を遮ってしまうため、食生活や歯磨きが不十分だと、かえって虫歯リスクが高まることもあります。

どの矯正装置を選ぶかは、歯科医師とよく相談を

ワイヤー矯正装置とマウスピース型矯正装置、どちらもメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたでしょうか。どの矯正治療法を選択するかは、歯並びの状態や骨格などにより変わってくることがあります。最良の結果を得るためにも、どの矯正装置を使って治療をするか、歯科医師とよく相談することが大切です。

 

口腔内スキャナーでできること

マウスピース型矯正装置は透明なマウスピースを歯に装着し、マウスピースを交換しながら歯並びを整える装置です。マウスピース型矯正装置にはいくつか種類がありますが、その代表は「インビザライン」で、日本だけでなく海外でも多く取り入れられています。インビザラインを作製するための型取りを行う際、「iTero 」という口腔内スキャナー を使用します。今回はこの口腔内スキャナーの役割についてご紹介しましょう。

従来は印象材を使った型取りを行います

矯正装置を作るためには、まずお口の中の型取りが必要です。型取りの際には、粘土のような印象材をトレーに盛り、患者さんのお口の中に入れて歯型を取ります。印象材を使った型取りはワイヤー矯正装置、インビザライン以外のマウスピース型矯正装置、お子さんの固定式の矯正装置などで行います。この型取りが苦手という声がとても多く、嘔吐反射が強い人(吐き気を感じやすい人)は辛さを必死に耐えながら、印象材が固まるのをじっと待っていなければいけません。装置を作り変えるごとに型取りを行うこともあるため、患者さんにとって苦痛の時間であると言えるでしょう。

しかし、この辛さを払しょくするシステムが、インビザライン矯正における「iTero 」という口腔内スキャナーです。iTeroを使うことで従来の型取りの苦痛を少なくして型取りが行えます。

iTeroを使うメリットとは?

まずiTeroのメリットを挙げてみましょう。

・より正確な歯型が取れる

・嘔吐反射が出にくく、辛い思いをしなくて済む

・治療開始が早い

マウスピース型矯正装置は、精密な歯型を取ることが何よりも大切です。インビザラインは、アライナーと呼ばれるマウスピースを交換しながら歯並びを整えていきますが、アライナー作製に印象材を使わず、iTeroを使ってお口の中の型取りを行います。ここで採取した歯型のデータをもとに、歯の動きと最終的な歯並びや噛み合わせをシミュレーションすることができます。これはインビザラインにしかない特徴で、iTeroを使うことにより、正確なデータを得ることができます。

また印象材を盛ったトレーをお口に入れることがないので、気持ち悪くなりにくく、辛い思いをせずに歯型を取ることができます。トレーの場合、もし歯型がうまく取れなかった場合、再度歯型を取らなければいけません。嘔吐反射が強い人にとっては非常に苦痛な時間を味わうことになりますが、iTeroは口腔内スキャナーのため気持ち悪さをほとんど感じないまま歯型採取を終えることができます。

そしてiTeroで採取したデータはすぐにアメリカのアライン社に送られ、治療計画が作られます。そのため通常の歯型取りを行った場合よりも治療を早く始めることができるのも、iTeroを使う大きなメリットだと言えます。

「iTero element」と「iTero element2」の違いとは?

口腔内スキャナーiTero elementに続き、iTero element2を導入している歯科医院も増えています。初代のものよりも画面が大きくなり、口腔内の様子がよりはっきりとわかりやすくなっています。また読み込みもスピーディーになり、患者さんの負担もより軽くなっています。

当院ではiTero element2をインビザラインや自費の補綴治療(詰めもの・被せものの作製)などに使用しています。

このように、口腔内スキャナーを活用することで、不快感なく、より精密なデータを得ることができ、治療の質を向上させることができます。

 

ページトップへ